本日のゲレンデ(とあるパトロールKの回想)
目覚めると真っ先に
「なんとも暖かい」
というスキー場にとってはありがたくない感覚に包まれた。
いつもどおりの上着を着てスキー場まで歩くと、
あっという間に汗ばんでしまった。
どことなく生ぬるい空気が辺り一帯を支配している。
普段の冷凍庫のようなキレのある冷気は鳴りを潜め、
まるで壊れた冷蔵庫にでも入っているような気分だ。
よもや春であろうか。
いやはや、もはや春である。
なんとも冴えぬ濁りきった朝ではあったが、
振り返ればノムギブルーの予感である。
予想通り、いや予報どおりというべきか
どこまでも深く、全てを飲み込むような青に
樹氷がよく映えるではないか。
絶妙なコントラストではあるが、
厚手の雪化粧と、それを引き剥がさんとする
空からの使者とのせめぎ合いなのである。
暖かいとはいえ、上部ゲレンデの雪面はそう軟弱なものではない。
本日も多くの滑走者達が雪面との対話に勤しんでいた。
スキーもボードも修行あるのみ。
雪面のみならず、
ポールとの果し合いである。
本日は珍しくリフト待ちの列も見受けれられた。
数分のリフト待ちは束の間の休息でもある。
山頂は些か風が強く、下部ゲレンデはシャバ雪のきらいがあったが、
本日もまた良き1日であった。
かっしー